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VATE:それはコピーライターというお仕事に必要なことだと。

 

こういう人たちに届けたい、というものが見えていると言葉が出やすいですし、僕の役割は人と商品・人と企業を「言葉」で繋ぐことだと思っているんですね。なので、「見えている」ということが重要だと思います。やっぱり世の中に答えがあるんじゃないでしょうか。

 

VATE:原田さんは常に言葉が中心にあると。

 

言葉で仕事をしてきたというのは一貫してますね。ただやってる内容は変わってきています。入った当時は新聞広告とか、雑誌広告というのが若い人の仕事の代表でしたけど、今だとTwitterのハッシュタグを考える、なんてことも仕事になっていますね。

 

VATE:言葉の流通するところも変わってきていると。

 

雑誌ではなくて、バナー広告かもしれないし、やはりデジタル化が加速して今、広告会社で来年の作戦を考えてくださいってお願いすると、デジタルをどう使うか、PR・広報をどうするか。そういう総合的な情報戦略みたいなものになってきています。そういう中で背骨になるところの作戦を表す「言葉」は何か、みたいな仕事はとても大切だと感じています。

 

VATE:言葉を考えるだけではない部分も大きいんですね。

 

そうですね。結構大変な仕事で頭も使うし、人間力が必要ですよね。場合によっては泣き落としたり、平謝りしたり。そういう事も含めて総合的に物事を前に進めないといけない中でキーワードを決めたり、最終的に世の中に出る言葉を作るという大変な仕事だと思います。

 

VATE:その後、博報堂を退社されますが?

 

やはり商品を表現するというよりは、企業のあり方を決めるような言葉っていうのを作りたいという野望があったわけですよね。そんなことを考えていたときに、2010年代の後半からこれからはテクノロジー、データの時代だと言われだして。世の中がそうであるにも関わらず、クライアントから何か仕事を委託されるという関係だと本当にデータがどう使われてるのか、どう機能してるのかってわかんないなと思い始めたんですね。だから一度、その中に身を投じてみたいなと思いまして、テックベンチャーに行こうと。

 

VATE:世の中の進む方向に合わせて、身の置く場所を変えられたと。

 

そうですね。そんな時にある方との出会いもあり、これから世の中が変わっていく時にスタートアップベンチャーっていうムーブメントを後押しするのも僕たちコピーライターの仕事だなと改めて思ったんです。実際、ベンチャー企業の社名を考案したり、ミッション・ビジョンを考えたりというのもやりがいがありました。その後、ご縁があってスマートニュースに入社することになります。

 

VATE:スマートニュースにはコピーライターとして入社されたんですか?

 

いえ。博報堂時代はクライアントから受託した広告の言葉を考えていましたが、スマートニュースには広報として入社したんですね。広告の言葉を作る仕事ではなく、例えば、自社のプレスリリースの言葉を考えるとかです。プレスリリースの前にある、新しいサービス、新しい商品をこんな風に世の中に出していこうというキーワードを考えたりだとかですね。

 

VATE:今度は企業側から言葉を考えると。

 

企業全体の方針についても、社長室というところにいたので、社長と話すという時間もあるし、何を考えているのかダイレクトにわかる。そういう意味で、クリエイターが経営者のそばにいるとやっぱりいいなと思いましたね。

 

VATE:身の置く場所がずいぶんと変わったんですね。

 

僕は二つ飛び越えてるんです。クリエイティブエージェンシー側からクライアント側へ。もう一つ僕はクリエイティブから広報に。