ヴォーカリスト 酒井ちふみさん
vol.09 2003.02.01
私を表現する”歌“
ヴォーカリスト
酒井 ちふみさん

ファーストアルバム/夏のぬけがら

心の揺れを確かに見つめて、描きたい。

VATE:トレーニングで効果が出るものなんですか。

 

自分のノド、身体を良く知って、無い物ねだりせずに毎日続けるだけですね。後からそれが凄く大きな財産になっている事に気付くんです。

自分が一番苦しい時、自分を支えてくれるのは、毎日かかさず続けてきた、自分にとって当たり前の事の積み重ねだと思います。それが、私にとってはヴォイス・トレーニング、ボディ・トレーニングです。私の最大の趣味であり、私のライフワークです。

 

VATE:酒井さんはその後ファーストアルバムを発表されますよね。

アルバムを出すというのは、どんな気分ですか。そして、このアルバムに込められた想いとは?

 

アルバムを出して、初めて、世の中に自己紹介したような気分になりましたね。そして、本当に沢山の仲間が支えてくれたからこそ、出来上がったものだと今まで私に関わってくれたすべての仲間に感謝の気持ちで一杯になりました。

このアルバムのイメージとも言えるし私が作りたい音楽のイメージとも言えますが、「呼吸する音楽」そう呼びました。まるで寝息のような穏やかな呼吸もあるし嗚咽のような荒々しい呼吸もある。そんな心の揺れを確かに見つめて、描きたいと思いました。

作り終えた段階で、その音を振り返ってみると、まるで高い所から低い所へ流れて行く水の音のような音楽でもありました、そして初々しかったですね(笑)。

 

VATE:酒井さんにとって「歌う」ってどういうことでしょう?

 

私にとっての『歌』は、『ひかり』です。

じりじりと肌を突き刺す夏の太陽です。 心の奥底にある黒々とした湖にそっと射し込む月光です。夜中、部屋の鏡に知らない私を写し出す懐中電灯です。真っ暗やみの中で、遠くにじむ灯火です。

そして『歌う』という事は、その歌の中で生き、思い出し、夢を見る事です。その歌の光で自分を照らし出し、映し、自分を知る作業だと感じています。

 

VATE:最後になりますが、いまの酒井さんの夢をお聞かせ下さい。

 

毎日、自分と格闘しながら、新しくなって、変化し続けたいです。私自身のからだの中で、発酵して、育まれた声、言葉、メロディーで在り来たりな言葉になってしまいますが、純粋に『いい音楽』を作りたい。そして仲間と一緒に歌い続けたいです。

 

VATE:これからも楽しみにしています。頑張ってください!