何でもない日常の中にこそ最も美しいドラマがある。

VATE:その時々によい出会いがあり、

その中に身を置くことで自分が成長していけるというのは素晴らしいコトですよね。

 

何かを創作している人達のエネルギーを感じるって大切だと思います。そして何よりも、音楽を愛し続けている人達の話を聞いていると、『私はなんてどうでもいいことで悩んでるんだろう』と気付きました。音楽の一番素敵な部分を見落としかけていたんです。私の好きな音楽は、自由で、そして勇敢な表現であったはずなのに、私は臆病でした。

『表現する。』この事から逃げずに、突き進みたいと心から思うようになってきた時期でした。そうしたら、ふと曲を書き始めたんです。不思議でした。

 

VATE:曲を作るというのは大変なことですよね。

自然に曲を作れるようになったその時、表現したかったのはどんなコトだったんですか?

 

自分でも自分からどんなものが生まれてくるのか、見当もつきませんでしたから、曲のアイデアが言葉とメロディーになって浮かび上がってきたら『あれ~、こんな事考えてたんだぁ』といった具合でした。『もうあの事は忘れたつもりだったのに』って事もあります。

その頃プライベートでも色々あって、色んな物事や人々が、私の風景から去って行った時期でした。何でもない日常の中にこそ最も美しいドラマや、目を背けたくなるような惨い瞬間があると思います。その一場面を切り取って、その色、香りまでもが漂うような、そんな声で歌いたいと思っていました。

 

VATE:なんだか、とてもわかるような気がします。

「表現する」ことにすごく誠実な姿勢が伝わってきますね。その後どうされたんですか?

 

オリジナルを歌うバンドを結成しました。『ラヴトレイン』って名前でした。私が運転手になって、皆を愛に満ちた場所へ連れて行くと約束するつもりで。おかしいですね(笑)。

 

VATE:バンドはうまくいってたんですか?

 

バンドメンバーは、よく変わりました(笑)。その度にデモテープと名刺みたいなものを持って、『誰か紹介して!』って走り回ってました。『メンバーがいないから』って事を理由に活動を断念する気はなくて、もう必死でした。要領悪いくせに夢中でやっているものだから、周りにいる人達が本当に応援してくれて、助けてくれた。感謝という他ないです。