ライブにて

忙しくなってくると両立はやはり破綻した。

VATE:わかりやすいですね(笑)。

それで、実際のところ一番簡単だったんですか?

 

入りは簡単に思えたですけど、それから先が長~い。出口の見えない鍾乳洞のようです。

 

VATE:それで学生時代に音楽にのめり込んで、将来は音楽で飯を食っていく!と決められたんですか?

 

その時はそんなつもりはなく、趣味として続けられたらいいなという程度でした。就職するつもりでしたし。

 

VATE:そうなんですか。では卒業後は就職を?

どんなところに就職されたんですか?

 

食品パッケージの会社のデザイン企画室というところに就職しました。女性ばかりの小さな部署で。

 

VATE:会社員からミュージシャンになろうと思われたきっかけって何だったんでしょうか?

 

私の場合、人からご縁をいただくことが多いのですよ。大学の後輩がミュージシャンになるということで、一緒にライブやらないかと誘われ、その頃まだ会社員で、ほとんど弾けない状態だったのですが、演奏をはじめました。

 

VATE:では当初は会社員をやりながら、ライブ活動されてたんですか?

 

そうです。時間のないときはこっそり得意先に楽器を持って行ったり、いろいろ工夫を(笑)。演奏していたのはだいたいスタンダードジャズです。

 

VATE:楽器と言ってもベースだし、大変ですよね?

仕事もしながらだと、あまり練習もできないですし。

 

そうなのですよ。で、会社から五分くらいのところに住み、昼休みに練習に帰ったりしてました。神戸などでのライブは、終電で帰るんですが、京都駅からタクシーなんですよ。楽器があると乗せてもらえないので、植え込みとかに隠しておいて、後で「ちょっと荷物があるんですけど~」とか言って無理矢理のせてもらうのです。運転手さんの間で噂になっていたようです。

 

VATE:植え込みって(笑)。仕事と音楽の両立はかなりきつそうですね。

それほどまでして音楽を続けていきたかったんですか?

 

それほど音楽に燃えていた訳ではなかったんですが、ありがたいことにいろいろ誘って頂いたりして、演奏の仕事がたまたま途切れることがなかったので、お受けするからにはちゃんとやろうか、という感じで。だいたい今まで全てそんな感じの後付け人生ですね。よく考えると自分の自主性のなさが浮き彫りになってきますね。会社の、特に同じ部署の方にはホントにお世話になりました。ライブの日に急に入ってきた出張を代わっていただいたり。でも忙しくなってくると両立はやはり破綻しました。

 

VATE:仕事と音楽が両立できなくなって、音楽をとられたわけですけど迷いとかなかったですか?不安だとか。

 

追い詰められると暴走するくせがありまして、両立が苦しくなったとき、なぜか音楽の方をとってしまったんです。不安は最近徐々に感じてきてる状態かな。やめてから7年くらいは経ちますから、早よ気付け、て感じですねえ。