ホットワインを頂きながら談笑

VATE:何事にも理由が必要なわけですね。

 

物には理屈とか、概念とか、そういうものを求めてしまうタイプなんです。ギムレットって何なんだろうか、とかね(笑)。

 

VATE:(笑)。

 

ジンというものは、どういうものであって、それをライムと合わせるとはどういう意味があるのかとか。そういったことを考えてしまうんですね。

 

VATE:なるほど。

 

自分が出しているものを自分がわかっていないと、本当に怖いんです。不安になる。そういう性分なんですね。

 

VATE:当然、ワインについてもお詳しいわけですよね。

 

ワインも一本一本全部味見をします。何故このワインがこういう薫りでこういう味をしているか。その理由も分かれるだけ、わかりたい。こういう場所で、こういう土壌で、こういうブドウで、こういう醸造方法で作っているからこそ、こういう薫りがして、こういう舌触りがして。全部把握したいんですよ。

 

VATE:とにかく知りたい、と。

 

いろんな新しい物と出会うたびに、自分のアンテナがビビッと反応したら、とにかくまずそれを知る。それから自分で咀嚼して、自分で喋れるようになってから出すんです。良い所も悪い所も全部自分で把握して、それを全部話せるようになっておきたいんですよ。

 

VATE:今まで将来の不安を感じたことってないんですか?

 

そうですね。先のことなんか考えてないんですね(笑)。そういうの本当に駄目なんで、僕はある意味キリギリスですね。ただのキリギリスでは嫌ですけどね。なんて言うか、情熱的なキリギリスというか。

 

VATE:いまが一番大事だと。

 

心から今を生きる。今を生きるって使い古されたような言い方ですが、やっぱり今に最大限のエネルギーを使ったらそんな先のことなんかにエネルギーまわらないと思うんですよね。

 

VATE:いまの力を全部出すということでしょうか。

 

先のことを考えて知識とか財とかを貯蓄するようなことをしていたら、現時点での仕事を少なくとも削ってしかできないですよね。僕はそれが出来ないんです。自分が出来る最高のパフォーマンスをしたいってやっぱり思ってしまうから。