パトリック・ブラン
《緑の橋》2004年
金沢21世紀美術館蔵
撮影:中道淳/ナカサアンドパートナーズ
写真提供:金沢21世紀美術館

VATE:対極というのは?

 

なんというか、ディズニーランドってやっぱり幻想じゃないですか(笑)。

本当にミッキーマウスがいるわけじゃないし、ファンタジーの世界ですよね。美術館というのはもうちょっとリアルな場じゃないといけないし、もう少し成熟した大人の文化なんですよね。日本というのは成熟した大人の文化っていうのが育ちにくいんだけども、もうぼちぼちいいんじゃないかと思うんですよね(笑)。

 

VATE:(笑)。

 

あんまり子供っぽい、こういってはなんですけど、私にとっては何も面白くないものは、もういいと・・・。もうちょっとこう、リアルで深みのある、それでいてそれがエンターテイメントとしても面白い、というね。

 

VATE:21世紀美術館もただ鑑賞するというより、体験をするという。

先ほどの話ではないですけど、一部だけを見るわけではなく、結果としては全体が残ってるという印象を受けます。

 

そうですね。良くできてますよ、やっぱり。

 

VATE:日本で美術的な文化というのが育ちにくいというのは何があるんでしょう?

 

いろいろあるんでしょうけど、社会全体が子供っぽいんじゃないんですか。個人が成熟していない。もっと他国の人たちがわーっと入ってきたりすると変わってくるんじゃないかとも思いますけどね。いまの社会構造みたいに、全員が中流という意識は維持できないじゃないですか。もっと格差社会になってくるし、階層によってカルチャーが変わってくるんじゃないかと思います。

 

VATE:秋元さんは今後こちらで活動されていくんですか?

 

そうですね。今はまだここでやっている事が面白いし、自分の中でアイデアが出てくるうちは楽しめるので(笑)。

 

VATE:将来の夢を聞かせてください。

 

本当にゼロから作ってみたいんです。直島にしてもなんだかんだある条件の中でやってるので、最後にやりたいのは条件から自分で全部決めていくような、全くのゼロベースからつくるもの。規模はそんなに大きくなくてもいいから、どこまでやれるのかな、というね。自分も知識がついてきてるし、だんだん経験も積んできているのでゼロベースでものを考えて、どこまで出来るのかというのは思いますね。

 

VATE:例えば何か具体的なものはありますか?

 

例えば廃村になってしまって人が全く住まなくなっちゃったみたいなところをゼロから作って、もう一回、集落というか町まではいかないだろうけど、ある人が集まってくる場所みたいなものを作り上げるとかですね。それはどこかで最後にやってみたいですね。それが夢ですね。