MTV JAPAN広報部部長 片岡英彦さん
vol.17 2004.12.01
人と人がある限り。
MTV JAPAN広報部部長
片岡 英彦さん

VATE:片岡さんが最近気になられていることは何ですか?

 

最近、子供ができたことで、「教育」の問題に関心がありますが、私は「教育」というのは「社会とのコミュニケーション」のとり方を教えることだと思っています。「社会から知識や経験を得て蓄積し、そして今度は社会に何かを放出する」いいかえれば、「蓄積」と「爆発」の繰り返しです。

今思うと、学生の時から、自分は良い意味で、「蓄積」と「爆発」を繰り返して成長してこれたと思っています。「蓄積」の期間には閉塞感を感じたこともありますが、あまり無理をして色々なことに手をつけないで、閉塞感というものを経験することができました。大学時代など、徹底的に何もしなかったからこそ、あるとき爆発的なパワーを発揮できたような気がします。

 

VATE:社会人になってからはどうでしょう?

 

社会人になってからも同様です。一旦、自分が始めた仕事ややり方を、何が何でも続けなくてはならないと考えてしまった瞬間、私は閉塞感を感じ、自分を苦しめてしまいます。良い仲間や上司と出会い、良い仕事をさせてもらう。自分も仲間も成長し、分かれ、また新たなチャレンジを始める。ただ何ごとも「中断」するというのは、とても度胸が要ります。今、多くの人が感じている一種の「閉塞感」というのは恐らくここから生まれているのだと思います。

「一旦始めたことはなかなかやめられない・・・」特に一度成功してしまうと同じ手法を続けなくてならないという「強迫観念」にかられます。

 

VATE:片岡さんがこれからやっていきたい事はなんですか?

 

私は今の時代の空気をあまり良いものとは思っていません。仕事上でも個人的にも何とか風穴をあけたいと思っています。そして、いつか「番組」や「会社」や「製品」ではなく「人そのもの」についてコミュニケーションしたいと思います。時代に風穴をあけるような「人物の排出」に協力できればと思っています。

長男がもうすぐ1歳になります。「つまらない時代だからこそ、面白く生きる。」「面白くなる”種”は自分でまく。」私自身が肝に銘じつつ、まずは手始めに自分の子供とのコミュニケーションを始めようと奮闘しています。

 

VATE:自分が影響を与えていく、ということでしょうか。

 

「影響力」を与えたことが誰の目からも明らかに分かってしまうようでは本当に良いコミュニケーションの結果とはいえません。「影響力を与えつつ、自分の影は残さない。」誰が影響を与えたともわからないくらい自然なまま、完全に相手に咀嚼され、吸収される。私からの受けた影響が、あたかも最初からその人のものだったかのように思われる。「補佐役」に徹しつつ多大な影響力を与えていく。コミュニケーションのプロとしての私の夢でもあります。

 

VATE:お忙しい中、ありがとうございました。