木造住宅

建築家をやって行ける自信は全く消え失せた。

VATE:えっそういうモノなんですか。

 

そうですよ。そういう現実的なことを在学中に知ったらやっぱりどうしようっていうのがありました。なのでアルバイトは設計事務所ではなく、WEB関係やデザイン事務所とかを選んで行ってました。そうするとまた新しい世界がそこにあって、魅力的でした。CGパース屋をやろうかとか、WEBやろうかとか、プロダクトやろうかとかっていろいろ考えてましたね。

 

VATE:いろいろ考えた結果、どういう進路を?

 

卒業間近になって先生の手伝いをやってたんですよ。2つのコンペのCGとか模型づくりとかです。で、2つともコンペで勝っちゃったんで、そのまま就職させてくれって言いました。言った日から3日後に東京へ移ってくれってことだったんで、1週間分の着替えだけもって東京へ移りました。

 

VATE:そんな急に東京行きが決定したんですか?!えらく急な話ですね。

 

その3日後に東京で打ち合わせがあったんで、それに間に合わせようってことで急に行くことになりました。住むところも決まってなかったので、決まるまで友人のところへ2週間程は居候しました。

 

VATE:それで東京に行かれてからはどんな仕事を?

 

東京へ行ってからの仕事はショッピングセンターのデザインと木造住宅の新築物件を担当しました。他はコンペだとか分譲マンションの設計補助とか雑用です。木造住宅では先生の弟さんのご自宅ということだったので気楽に話ができて、デザインも割と自由にさせていただきました。だいたい1年ちょっとぐらいの仕事でした。

 

VATE:ショッピングセンターの方はどんなものだったんですか?

 

ショッピングセンターは12万平米ほどある巨大な物件でした。工事期間中のお昼休みなんて面白いぐらいの数の職人さんが敷地内に溢れかえるような物件でした。規模が大きすぎたので素人の僕にとっては逆に開き直ってましたね。これは2年続きました。

 

VATE:しょっぱなから大きなプロジェクトですね。もう不安しかないんじゃないですか?

 

そりゃもう不安もなにも。安月給かつ休む間もなく、そのうえ事務所の主任と先生以外はみな同時期に入社した素人ばっかりなんでこれまた大変でした。1人1物件で互いに手伝いながらやってましたね。そんな感じだから将来建築家をやって行ける自信は全く消え失せます。