絶対に軸足はずらさなかった。

VATE:なるほど。

 

だから僕が行って、死ぬほど働いて、衝突して。でもそこで最後にお客さんにありがとうと言ってもらえた時、僕が行くまで仕事に夢中になりきれなかった社員たちが泣いて喜んでくれたんです。だから思いましたよ、人っていうのはお金やなんかだけのために働いているんではないって。

 

VATE:では研究機関での研究が実体験として経験されることになったわけですね。

 

そうです。その後は代理店部っていうところで数多い代理店の中の若手やなんかの教育もしましたね。経営や戦略面、営業面での指導などです。

 

VATE:宮崎さんが代理店の社員を教育されるわけですか。そこの経営者ではなく?

 

そうです。社員と接するのが怖いっていう経営者がいるわけですよ。そして、もっと情熱を持って働きたい、とくすぶっている若い社員がいる。そういう人たちを間近に見て、僕の役割っていうのは大きいなって思いました。

 

VATE:それにしても宮崎さんは出世も早かったですよね。

 

同期の中でも早いほうでしたね。どんどん出世しました。

 

VATE:しかし出世が早いとどんどん会社寄りになっていくもんじゃないですか?

 

でもやはり自分は野武士であると思ってました。そして僕の上司も野武士だと。会社の方針は認めるけど、その中で野武士としてやっていく。僕の上司もそういう人でしたから、すごく自由にやらせてもらえたっていうのはありますね。絶対に軸足はずらしませんでしたから。

 

VATE:でも軸足ずらされそうになったりしませんでした?

 

自分の中ではありましたよ。特に評価が低い時なんていうのは、ぐらっとくるわけです。でもそれでもずらしませんでしたよね。やはり現場に近い立場に居たい。だから僕は管理職になってからの出世は遅かったですよ。現場寄りですから、経営から見れば管理職失格みたいなことでね。